「CLOSE/クロース(2022)」は、A24が北米配給を手掛けた作品のひとつで、観終わったあとも言葉にならない感情が残り続けます。それは、悲しいや切ないといった単純な言葉では表せない、もっと曖昧で静かなもの。
本記事では、あらすじには触れすぎず、作品の“間”に残された感情を中心に考察していきます。レオとレミの関係の変化や、その“間”に残された感情に目を向けながら、この作品が何を残したのかを丁寧に紐解きます。
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🎬 CLOSE/クロース(2022)
- 上映時間:104分
- ジャンル:ヒューマンドラマ
- 「CLOSE/クロース」公式サイト
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最初の違和感

物語の前半、レオ(エデン・ダンブリン)の態度にはハッキリとした違和感があります。
親しかったはずのレミ(グスタフ・ドゥ・ワエル)を、どこか突き放すような振る舞い。その変化はあまりにも急で、一方的にも見えてしまいます。
だから最初は、レオが悪く見えてしまう。レミが死を選んだきっかけは、あの距離の取り方にあったのではないかと。
しかし、物語が進むにつれて、見ているものが少しずつ変わっていきます。言葉ではなく、レオの表情や仕草を追うようになる。
何を考えているのか。
何を感じているのか。
そうして見えてくるのは、ひとつの喪失のかたちでした。
言葉にできなかったもの

レオは変わったのか、それとも壊れたのか。
恐らく、そのどちらでもないのだと思います。
ほんの少しだけ早く、大人になる側へと足を踏み出してしまった。ただ、それだけのことだったのかもしれません。
ベタベタと触れ合う関係が、急に恥ずかしくなる。周囲の視線が気になり始める。それは誰にでも訪れる、ごく自然な変化です。
けれどレミは、まだそこに辿り着いていませんでした。
レオは、その変化を言葉にできなかったのでしょう。あるいは、言葉にすること自体が恥ずかしかったのかもしれません。
だから距離を取ることでしか、自分を守れなかった。しかし、その沈黙はレミには届きませんでした。
近すぎた2人

レオとレミの2人は、あまりにも近すぎたのだと思います。
兄弟以上に親しく、恋愛とも違う。まるで自分の一部のような存在でした。
だからこそ、ほんの少しのズレが、取り返しのつかない距離を生んでしまった。
ここにはひとつの皮肉があります。
レミは、レオの変化の意味を理解できなかった。でも、自ら死を選ぶという行為を実行できるほどには“大人”になっていた。
死という概念を理解し、それを選択する。それは決して、子どものままではできないことです。なのに、最も近くにいたはずのレオの変化だけが、レミには見えませんでした。
抱えたまま、生きていく

レオの中に残ったものは、明確な罪ではありません。消えることのない“理解”でした。
自分の言葉や態度が、何を引き起こしたのか。
それを、はっきりとわかってしまっている。
レミの母と向き合ったあの場面で、そのすべては静かに受け止められます。
拒絶され、突き放され、それでも最後には抱きしめられる。
許されたわけでも、救われたわけでもありません。
ただそこにある事実を、誰も否定しなかった。
その後、レミの家は空になります。あの場所に残り続けるには、あまりにも現実が重すぎるから。
それでもレオは、そこに足を運びます。
ラストのレオの真っ直ぐな眼差しは、何かを乗り越えたものではありません。抱えたまま、生きていくことを選んだ人の目でした。
何も解決していない。
何も救われていない。
それでも、進むしかない。
抱えたまま、生きていくということ。
この作品は、そのすべてを語らないまま、心の空に静かに残り続けます。
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言葉にならない感情を、そっと思い出したいときに。
「CLOSE/クロース」© Menuet / Diaphana Films / Topkapi Films / Versus Production 2022
※本ページの情報は2026年3月時点のものです。最新の配信状況は各公式ページをご確認ください。

