Between the Frames|抱えたまま、生きていくということ(CLOSE/2022)

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映画CLOSEの余白や距離感をイメージした、紫の花畑と柔らかな光のビジュアル

「CLOSE/クロース(2022)」は、A24が北米配給を手掛けた作品のひとつで、観終わったあとも言葉にならない感情が残り続けます。それは、悲しいや切ないといった単純な言葉では表せない、もっと曖昧で静かなもの。

本記事では、あらすじには触れすぎず、作品の“間”に残された感情を中心に考察していきます。レオとレミの関係の変化や、その“間”に残された感情に目を向けながら、この作品が何を残したのかを丁寧に紐解きます。

目次

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🎬 CLOSE/クロース(2022)

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最初の違和感

教室で寄り添うレオとレミの様子
「CLOSE/クロース」© Menuet / Diaphana Films / Topkapi Films / Versus Production 2022

物語の前半、レオ(エデン・ダンブリン)の態度にはハッキリとした違和感があります。

親しかったはずのレミ(グスタフ・ドゥ・ワエル)を、どこか突き放すような振る舞い。その変化はあまりにも急で、一方的にも見えてしまいます。

だから最初は、レオが悪く見えてしまう。レミが死を選んだきっかけは、あの距離の取り方にあったのではないかと。

しかし、物語が進むにつれて、見ているものが少しずつ変わっていきます。言葉ではなく、レオの表情や仕草を追うようになる。

何を考えているのか。
何を感じているのか。

そうして見えてくるのは、ひとつの喪失のかたちでした。

言葉にできなかったもの

遠足で一人海辺に立つレオの姿
「CLOSE/クロース」© Menuet / Diaphana Films / Topkapi Films / Versus Production 2022

レオは変わったのか、それとも壊れたのか。

恐らく、そのどちらでもないのだと思います。

ほんの少しだけ早く、大人になる側へと足を踏み出してしまった。ただ、それだけのことだったのかもしれません。

ベタベタと触れ合う関係が、急に恥ずかしくなる。周囲の視線が気になり始める。それは誰にでも訪れる、ごく自然な変化です。

けれどレミは、まだそこに辿り着いていませんでした。

レオは、その変化を言葉にできなかったのでしょう。あるいは、言葉にすること自体が恥ずかしかったのかもしれません。

だから距離を取ることでしか、自分を守れなかった。しかし、その沈黙はレミには届きませんでした。

近すぎた2人

家族とともに安心して横たわるレオとレミ
「CLOSE/クロース」© Menuet / Diaphana Films / Topkapi Films / Versus Production 2022

レオとレミの2人は、あまりにも近すぎたのだと思います。

兄弟以上に親しく、恋愛とも違う。まるで自分の一部のような存在でした。

だからこそ、ほんの少しのズレが、取り返しのつかない距離を生んでしまった。

ここにはひとつの皮肉があります。

レミは、レオの変化の意味を理解できなかった。でも、自ら死を選ぶという行為を実行できるほどには“大人”になっていた。

死という概念を理解し、それを選択する。それは決して、子どものままではできないことです。なのに、最も近くにいたはずのレオの変化だけが、レミには見えませんでした。

抱えたまま、生きていく

抱きしめ合う中で複雑な感情を抱えるレオの表情
「CLOSE/クロース」© Menuet / Diaphana Films / Topkapi Films / Versus Production 2022

レオの中に残ったものは、明確な罪ではありません。消えることのない“理解”でした。

自分の言葉や態度が、何を引き起こしたのか。
それを、はっきりとわかってしまっている。

レミの母と向き合ったあの場面で、そのすべては静かに受け止められます。

拒絶され、突き放され、それでも最後には抱きしめられる。
許されたわけでも、救われたわけでもありません。
ただそこにある事実を、誰も否定しなかった。

その後、レミの家は空になります。あの場所に残り続けるには、あまりにも現実が重すぎるから。

それでもレオは、そこに足を運びます。

ラストのレオの真っ直ぐな眼差しは、何かを乗り越えたものではありません。抱えたまま、生きていくことを選んだ人の目でした。

何も解決していない。
何も救われていない。

それでも、進むしかない。

抱えたまま、生きていくということ。

この作品は、そのすべてを語らないまま、心の空に静かに残り続けます。

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「CLOSE/クロース」© Menuet / Diaphana Films / Topkapi Films / Versus Production 2022

※本ページの情報は2026年3月時点のものです。最新の配信状況は各公式ページをご確認ください。

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