ヘヴィメタルの帝王と称されたオジー・オズボーンが、2025年7月22日にこの世を去りました。ブラック・サバスとしての功績、ソロとしての成功、破天荒な人生。音楽史に大きな影響を与えたオジーの足跡を、名曲とともに振り返ります。
オジー・オズボーンってどんな人?
ブラック・サバス時代の革新性:ヘヴィメタルの礎を築いた男
It is with more sadness than mere words can convey that we have to report that our beloved Ozzy Osbourne has passed away this morning. He was with his family and surrounded by love.
— Ozzy Osbourne (@OzzyOsbourne) July 22, 2025
We ask everyone to respect our family privacy at this time.
Sharon, Jack, Kelly, Aimee and… pic.twitter.com/WLJhOrMsDF
オジー・オズボーンは、イングランドのウェスト・ミッドランズのバーミンガムで結成されたロックバンド「ブラック・サバス」のフロントマンとして音楽界に登場。
ブラック・サバスというバンド名は、マリオ・バーヴァのホラー映画「BLACK SABBATH(邦題:ブラック・サバス/恐怖!三つの顔)」から取られました。オジー・オズボーン曰く、公開当時の映画館には長蛇の列ができており、”人間は恐怖を求める”という着想を得たとのこと。
デビュー・アルバム「黒い安息日」は、自費でレコーディングが行われ、1970年2月の”13日の金曜日”に発売されました。当時としては異質な重厚で不気味なサウンドと、悪魔や恐怖をテーマにした歌詞で衝撃を与えました。
このスタイルは後にヘヴィメタルの原点として語り継がれ、メタル、ドゥーム、グランジとジャンルを超えて影響を与えます。特に、オジーの独特なハイトーンと、どこか不安定なボーカルは、彼のカリスマ性を強く印象づけました。
「ブラック・サバス」がいなければ、メタリカもスリップノットも存在しなかったと、多くのミュージシャンが語っている。
ソロ転向後のカリスマ性:ギターの神との共演、奇行との共存

1979年、オジーはブラック・サバスを脱退し、ソロ活動を開始。この頃から、ロックの殿堂入りしているギターの神”ランディ・ローズ”と活動を始めます。ランディとの共作のソロ第1作目「ブリザード・オブ・オズ〜血塗られた英雄伝説」は、批評家とファンから絶賛され、ヘヴィメタルのクラシックになりました。
2曲目に収録されている「Crazy Train」は、メタルをポップフィールドへと橋渡しした名曲であり、オジーがロック史に名を刻むきっかけとなりました。
その一方、「コウモリ食いちぎり事件」やアルコール・ドラッグ依存など、破天荒な言動も話題に。しかし、それすらもオジーの”型破りな魅力”として受け入れられています。
コウモリ食いちぎり事件とは、オジーがステージに投げ込まれたコウモリの死骸をレプリカだと思って噛みちぎったというもの。狂犬病の媒介者であるコウモリを口に入れたことで救急搬送され、数ヶ月間は毎日のように体中に注射を刺しながらツアーを続けた。
オジーは俳優としても活躍し、コミック映画「プライベート・ハーツ」、コメディ映画「リトル・ニッキー」、ミュージカル要素も含む「ザ・レインボー」などに出演しました。
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ポップカルチャーへの影響:MTVとリアリティのパイオニア

2002年には、米ケーブルチャンネルMTVで家族の日常に密着するリアリティ番組「The Osbournes」がスタート。オジーのヨレヨレなパパっぷりと、家族のハチャメチャぶりが人気を博し、”破天荒だけど愛されるロックスター像”を確立します。
この番組は、その後の「ガーダシアン家」など多くのリアリティショーの原型ともなり、MTVの象徴的存在になりました。音楽シーンを超え、カルチャーアイコンとしても君臨し続けたのがオジーの唯一無二な点と言えるでしょう。
「あれは現代のオジーを決定づけた瞬間だった」とも言えるだろう。実際、米ローリングストーン誌なども、その重要性を度々取り上げてきた。
名曲セレクション:人生を彩ったサウンドたち
オジー・オズボーンの音楽は、ただのヘヴィメタルにとどまらず、時に希望や孤独、狂気をも歌い上げてきました。そんな彼の音楽の中から、心に残る名曲をセレクトしてご紹介します。
- Crazy Train(クレイジー・トレイン)/オジー・オズボーン
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言わずと知れたオジーの代表曲。あのギターのリフから始まるイントロは、何度聴いてもテンションが上がります!
- Sabbath Bloody Sabbath(邦題:血まみれの安息日)/ブラック・サバス
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ヘヴィなイントロから始まりつつも、中盤では一転して美しく幻想的なパートが入るのが特徴的。まるで現実と幻の境界をさまようかのような構成がたまりません。
- No More Tears(ノー・モア・ティアーズ)/オジー・オズボーン
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ヘヴィメタルらしい重厚なギターと哀愁を帯びたメロディ。跳ねるようなベースラインが中毒性を生む、グルーヴィーな名曲です。
- Dreamer(ドリーマー)/オジー・オズボーン
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ピアノ主体のバラードで、オジーの「イマジン/ジョン・レノン」へのオマージュとも言われています。初めて聴いた瞬間からジョン・レノンっぽさを感じ、オジーが熱狂的なビートルズファンだったのが納得できます。ブラック・サバス時代とは異なるオジーの新たな一面を感じられる1曲。
- Paranoid(パラノイド)/ブラック・サバス
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たった2分でロックの歴史を変えた“即興の名曲”。あと1曲足りないと言われてギタリストのトニー・アイオミが数分で作り上げました。リフの中毒性、疾走感、オジーの叫ぶようなボーカルが、”重くて暗い”というブラック・サバスのイメージを覆しました。
- Mama, I’m Coming Home(ママ、アイム・カミング・ホーム)/オジー・オズボーン
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悪魔の声が愛を歌った、オジー史上最も優しいバラード。ブラック・サバスの狂気とは真逆の暖かくてどこか切ないこの曲は、ツアーで家族と離れて生きるオジーが”帰る場所”を思いながら書いた1曲です。オジーが「Mama」と呼びかけるたび、あのぶっきらぼうな声に滲む愛情がたまりません。
▼今回ご紹介した楽曲はこちらのプレイリストにまとめました🎧
世界中のアーティストが寄せた追悼コメント
突然の訃報に、音楽業界は深い悲しみに包まれました。世界中のアーティストたちがSNSなどを通じて、彼の死を悼むメッセージを寄せています。その中からいくつかをご紹介します。
ブラック・サバス
「オジーを失ったことで、僕の人生の一部が失われた。彼は唯一無二の存在だった。ステージでも私生活でも、彼と共有した時間はかけがいのないものだったよ。」
トニー・アイオミ(ブラック・サバス/ギター)
「親愛なる友よ、さようならーー長い年月をありがとう。良い時も、悪い時も、一緒に過ごせて楽しかった。4人のアストンの少年たちが、最後に一緒にステージに立てて本当に良かった。愛しているよ。」
ギーザー・バトラー(ブラック・サバス/ベース)
「君は永遠に僕の中にいる。ショーンと家族全員に、心からお悔やみを。安らかに眠れ、永遠に。ファンの皆にも深い哀悼を。さようならではなく、ありがとう、永遠に。」
ビル・ワード(ブラック・サバス/ドラム)
サバスの子孫たちが語る、ヘヴィメタルの父への想い
「オジーは俺たちの道を切り開いてくれた。あの声、あのカリスマ、全てが唯一無にだった。彼がいなければメタリカは存在しなかったかもしれない。」
ジェームズ・ヘットフィールド(メタリカ)
「あなたの存在があったからこそ、僕らはバンドを始めることができた。子供の頃に夢中で聴いたサバスの音は、今も僕の中にある。ありがとう、オジー。
ラース・ウルリッヒ(メタリカ)
「ジャンルが違っても、オジーの存在は全てのメタルバンドにとって巨大だった。僕らは皆、彼の影響の中で音楽をやってきた。ご冥福をお祈りします。」
ブルース・ディッキンソン(アイアン・メイデン)
「俺にとって”ヘヴィメタル”とはオジーのことだ。彼の生き様、サウンド、そして狂気は、俺の心を掴んで離さなかった。ありがとう、永遠に愛してるよ。」
コリィ・テイラー(スリップノット)
「ショックが大きすぎる。彼のユーモア、存在感、そして音楽が恋しくなる。彼と同じ時代に生きられたことを誇りに思う。」
ジーン・シモンズ(KISS)
「サバスがいなければ、スレイヤーも存在しなかった。オジーは俺たちの道しるべだった。ありがとう、そして安らかに。」
トム・アラヤ(スレイヤー)
「世界中がオジーの存在感と恐れ知らずの才能を恋しがるだろう。」
ブライアン・メイ(Queen/ギター)
おわりに:オジーの音楽は永遠に

オジー・オズボーンの音楽は、単なるヘヴィメタルの枠を超え、多くの人々の心に深く刻まれています。彼の独特な声や歌い方、歌詞、そしてステージでの存在感は、何世代にも渡り多くのアーティストやファンに影響を与え続けました。
オジーの人生には波乱も多く、破天荒なエピソードは数えきれないものの、それら全てがオジーの唯一無二な魅力となりました。彼が音楽に込めた情熱と魂は、今も世界中で引き継がれ、これからも色褪せることはありません。
初めてオジーを知った時は、変な人だと衝撃を受けましたが、こうして改めて彼の軌跡を振り返ると、オジーが遺したものの偉大さを実感します。次世代のアーティストたちがオジーの影響を受け、またその次の世代のアーティストが彼らの影響を受けるといった具合に、オジーの影響はどこまでも続いていきます。
ヘヴィメタルの礎を築いたオジー・オズボーン、その存在が音楽史に刻んだ足跡は消えることなく、これからも多くの人々の心に響き続けるでしょう。彼の音楽と精神は、いつまでも皆の中で生き続けます。心からの感謝とともに、安らかな眠りをお祈りします。
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※本ページの情報は2025年7月時点のものです。最新の配信状況は公式サイトをご確認ください。